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エッセイ

第51回 竜脚類の鼻の謎

下の映像は、フェバリットのディプロドクスの頭骨モデルです。しげしげと眺めてみると、鼻先の方にはひとつも穴がありません。いったい鼻の穴はどこにあったのでしょう?今回は、竜脚類の鼻について考えてみます。


孔はどこだ?

よく見ると、頭の頂点の眼窩の間に比較的大きな穴(骨鼻孔)が開いており、ここが鼻孔の開口部だったと考えられています。図で、Aの矢印で示した部分です。
鼻自体を形成している組織や軟骨などは化石として保存されないので、鼻の位置は骨鼻孔から推測するしかなかったのです。しかし、アパトサウルスなどでは、骨鼻孔が60センチを超え、頭蓋骨の半分以上に及ぶため、鼻孔の位置を特定しにくいのも事実です。

頭のてっぺんに

鼻孔が頭の上の方にあるところから、かつては水中生活で息をするのに便利だと考えられていました。シュノーケルのようなものもあったと思う人がいたかもしれません。また、孔が大きく、象やバクでは、その鼻孔口に長く伸びた鼻があることから、竜脚類も長い鼻を持っていたと考える人もいます。


口の上に

2001年には、鼻の開口部はずっと前のほうで、口の上あたりとする論文が報告されました。上の図のBの矢印で示したあたりで、馬などみなれた動物に近い位置ですね。
解剖学者のウィットマーが、ワニや鳥、トカゲなどについて、解剖やX線解析によって鼻の軟繊維の配置を調べたのです。
軟組織は骨に特定の跡を残すことから、恐竜化石と比較することで、恐竜の鼻腔を形成していた軟繊維の位置を決めています。
さらに、骨鼻孔に残る溝や穴をもとに血管分布を推定し、血流が骨鼻孔の前下方に向かっていることも解明しました。頭蓋骨には、鼻につながる太い血管が口元に向けて通っていた痕跡も見つけたそうです。
これらの結果、恐竜の鼻孔の位置は、従来考えられていた頭蓋骨にあいた骨鼻孔の位置よりも口に近い位置にあったとしています。


神経学的に

一方、最近、古神経学な研究から、ディプロドクス類は象のような長い鼻は持っていなかったとする論文が報告されています。

象の顔面や鼻にある神経は、鼻が力強く複雑な動きをするために多いのだそうです。しかし、頭骨化石から推定すると、ディプロドクスの顔面神経は比較的少ないと考えられ、これが象ののような長い鼻は持っていなかった理由としています。

竜脚類は首が長く地面近くの植物を食べることができたことから、象のような長い鼻は必要なかったかもしれませんね。

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