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小田隆さん

小田 隆さん 古生物アーティスト

1969年三重県に生まれる。
東京芸術大学大学院修了。油画、壁画を専攻。
現代美術の世界を中心に活動。1995年から2000年まで各地で個展を開催。1996年に恐竜化石の組み立て、レプリカ制作に携わったことから、古生物の復元アートの制作を始める。
FAVORITE CLLECTIONの監修者である平山廉氏とは、多くの仕事でパートナーシップを組んでいる。
最近では「小学館の図鑑NEO 大むかしの生物」(小学館)の主に中生代の復元画を制作している。

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「スタン」という個性を再現する

フェバリットのスケルトンモデルは、古生物復元アートを手掛けるアーティスト小田隆を造形アドバイザーに迎えることによって、「生態復元像」、或いは「生態復元モデル」という全く新しい意味合いを帯びてきました。
今回は、現在製作中の「スタン」スケルトンモデルについて、存分に語っていただきました。
「スタン」とはティラノサウルス・レックスの骨格標本で、非常に保存状態が良く、この恐竜の迫力、猛々しさ、そして美しさを合わせ持つ個体です。
日本でもいくつかの博物館で、レプリカですが全身骨格標本を見ることができます。これまでのスケルトンモデルでは、特定の個体をモデル化したことはありませんでした。
今回はアメリカのブラックヒルズ地質学研究所の協力のもとに、「スタン」をモチーフに1/10スケールでモデル化します。
1/10スケールということで、モデルのサイズはゆうに1メートルを超えます。これだけの大きさとなると、ディテールの再現も十分にできます。そのためには、たくさんの資料と綿密な指示が必要になります。
ブラックヒルズから写真資料を受け取りましたが、立体物の指示書をつくるには不十分で、実際に博物館に行ってスケッチ、写真撮影をする必要がありました。
それでも満足のいく角度から、骨格標本の全てを観察することは不可能だったので、いまの時点でも資料を集めることを続けています。
ティラノサウルスは肉食恐竜のなかでも代表的で、もっとも知名度の高い恐竜ですが、その身体的特徴は極めて特殊です。進化に進化を重ねて、何者にも似ていない種になりました。だからこそ綿密な観察をしないと、その魅力を再現することができません。
現時点では、中国において粘土による原型製作が進行中です。
これは、私の指示書をもとに制作されています。しかし、指示書によって、こちらの意志や考えが100%伝わるというわけではありません。極めて不十分なものです。
また、指示の精度を上げたくても、資料の不備や私の標本に対する理解不足から、全ての情報を指示書に反映させることも、とても難しいことです。
また、中国の原型師は非常に優秀な技量を持っていますが、まったく実物の骨格標本を見たことなく作っています。先入観なく、対象を作ることができるということは、素晴らしい利点ですが、対象に対して共通の認識を共有できないということは、常にジレンマとしてあります。こちらがより良い指示をすれはするほど、彼らは応えてくれるので、私が努力するしかないのですが。
公開されている写真の段階は、まだまだ序盤というところでしょう。大まかなプロポーションと、姿勢などがわかります。姿勢はもう少し、水平に近づくよう指示を出しています。図示された数値から、このモデルの巨大さがわかります。まだ細部を作り込む段階ではないので、すこしフォルムにシャープさが足りないと感じます。これも具体的に、削る部分などの指示を出してあります。
恐竜は巨大な生物ですが、巨大であるために骨格は、非常に軽量化されています。特にティラノサウルスの頭部は、それが顕著で薄く、開口部の多い作りです。この一見強靱なようで、実際は繊細な作りの骨格の特徴が、最終的に出来ればとても嬉しいです。
十分に成熟した恐竜は、その生きてきた過程で傷を負ったり、病気になったりしています。そして、その痕跡が骨格に残る場合が多々あります。それらも細部の一つとして、再現していく予定です。
自然物のもつ不確かさや、不釣り合いと思えるような骨のデザイン、その個体が傷を負ってできてしまったか、またはほかの原因による歪みや捩れ、そういったことまでが表現できて、はじめて「スタン」という個性を再現することができるのだと思います。

(インタビュー:フェバリット編集部)


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