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小田隆さん

荒木一成さん 恐竜造形師

1961年大阪府生まれ。
自然史系博物館での恐竜復元模型製作、恐竜図鑑などの原型製作を手がける。2001年10月にオープンした「三鷹の森 ジブリ美術館」にはプテラノドンの雛型模型を制作。博物館を中心に企画展等も展開。恐竜分野で幅広い活躍をしている。フェバリットコレクションでは、オールディーズ、デスクトップの造形製作を担当。
著書に「立体恐竜図鑑」、「フィフティダイナソア」、「はっけんずかん きょうりゅう」(学研)などがある。

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恐竜復元模型の二つの方向 Vol.1 荒木スタイル 科学と感性

荒木一成氏は、フェバリットコレクションのデスクトップモデルの造形アドバイザーである。自宅の一室を工房(仕事場)にしてゴジラ「カッコイイ恐竜」を造り続けている。
ガンダム、エヴァンゲリオン、ゴジラ……フィギュアの数々が本棚に無秩序を装い置かれている。
モノ好きな恐竜作家の話は、どれも気持ちの隅っこに思い当たる節があった……。
海外では10年も20年も前から、フェバリットで展開されている骨格や頭骨のモデルなどは当然のように博物館にはありました。自宅に恐竜のデスクトップモデルを飾っていても、不思議でも特別でもない文化のようなモノがありました。
日本では、恐竜を飾っていること自体、スゴク恥ずかしいようなイメージがありましたよね。それがここ10年ほどで改善……、改善というのもおかしいですが、改善されているように思います。
恐竜イコール子供、怪獣みたいというイメージではなくて、随分アカデミックになってきました。
きっと少しずつ日常の中で恐竜は地球の歴史に組み込まれ、認識されるようになってきたのでしょう。
 僕は、恐竜ファンだということを、きっとみんな隠していたのだと思うのです。例えば今、30代とか40代の人は、怪獣が子供の頃の思い出の中に必ずあるのですが、何処かで"恐竜が好き"と言ってはいけないと思っていたわけです。
ところが、最近、チョコラザウルスとかチョコエッグの人気で、「恐竜を喜んで買ってもいいんだ」と気づいた。
ちょっと前だと抵抗があったかもしれませんが、みんな解放されたんですね。僕は、ずっと玄関に恐竜を飾っているし、出かける時は恐竜に見送られ、帰ってきたら恐竜が迎えてくれます。僕らは特殊な人間で、ゴジラを玄関にディスプレイしてもぜんぜん恥ずかしくない。
世の中、何だか僕らに近づいてきているのではないでしょうか……。というか、好きなことを隠さなくても大丈夫なんだと、やっと思えるようになったのでしょう。
確かに玄関には、1/10のティラノサウルスのオブジェが置いてあり、ドアを開けるとチョコラザウルスの全コレクションがディスプレイされている。
氏はスターウォーズの熱狂的なファンとして知られ、サンダーバード2号に片思いをし続けている。
10年ほど前、バンダイから発売されていた2号のモデルがあったらしい。当時、8,800円。安くなるのを待っていたら無くなってしまい、結局、オークションで29,000円で手に入れることになった……。
氏の人生で、この種のエピソードは数え切れない。
2号派と1号派があると思うのです。絶対1号がいいという人と2号がいいという人と…。2号は純粋に1番人気なのです。プラモデルは2号しか売れない。2号は必ず出動して必ず活躍するでしょう。
そういう意味で、恐竜界ではティラノサウルスが絶対的人気です。今だとジュラシックパークで有名になったラプトル系も人気がありますね。
でもね、2号が一番いいというのはあくまでも一般的な見方で、サンダーバードが好きだとのめり込んでゆくと、1号の方が登場の仕方がカッコイイとか、差がでてきます。恐竜もある程度突っ込んでいくと、ティラノなんかよりこっちの方が好きと……分かれてくる。ただ、何かひとつ選ぶという形になるとティラノであり2号なんです。
氏が最初に手掛けたフィギュアも、勿論、ティラノサウルスだった。その経緯は、サンダーバードと同じように、当時の少年が経験するごくフツーの出来事だった。
ただ、違っていたのは、大抵の場合は忘れてしまうモノやコトへの想いが、氏の場合ずっとあの日のまま、今に至っているということだ。
昔は怪獣と恐竜は同じラインにあったと思います。
怪獣画報とか怪獣図鑑とかの中にゴジラとかキングギドラとか載っていて、その後ろの方に恐竜が登場する。或いは、地球大百科みたいなものに、地球の成り立ちがあって白亜紀恐竜が出てくる。ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブンまでですけれど、ウルトラマンの怪獣とか結構詳しいです。怪獣も恐竜も同じような形で知識として持っていました。
そんな時、1970年代ぐらいでしたか「大恐竜時代」(二見書房1976年刊・絶版)という本が出版されました。それまでの恐竜は尻尾をひきずっているような図鑑ばかりだったのですが、その時目にしたのがディノニクスという小型の肉食恐竜が尻尾をあげて走っている挿し絵でした。恐竜は爬虫類の冷血などんくさい生物ではなく、今のほ乳類と同じくらい活動的な動物だと書いてありました。
僕と恐竜のつきあいは、それからです。
復元と言えるかどうかは判りませんが、中学生の頃にバルサに彫った恐竜が最初です。しかも、そのティラノサウルスの手は1/35の兵隊さんの腕を改造しています。
以来、粘土で恐竜を造り始めて、高校生のときには結構リアルに造っていました。
モノ好きなコレクターであり熱狂的な恐竜ファンの氏が手掛ける復元とは……。
そこに、荒木氏のフィギュアの本質があるのではないだろうか。
僕はコレクターなんですね。コレクターである人間が恐竜を復元するのと、そうでない人間が復元するのとでは、全く違ったモノになる可能性はあると思います。
僕らのように熱烈なファンとしてなのか……、或いは学術的なものとして一歩離れて恐竜をとらえるのか……です。
少し前、フェバリットコレクションでアパトサウルスの骨格モデルを発表されましたが、僕らのような昔人間にとっては、緩やかなS字カーブの首が、結構好きなんです。学者の方々が竜脚類の首は真っ直ぐだと考えておられるのに、僕らが口をはさむことではないのですが、こう……緩やかなS字のラインがいいんですね。夏の恐竜展のために趣味で造ったセイスモサウルスもS字の首になっています。
僕らは怪獣みたいなところの恐竜から知っていて、論文を読み、あー恐竜というのは本当はこういうものなんだなーと少しずつ学んできました。
最終的に、最新の科学的なデータや論文と何処かで整合性をとってゆくわけですが、まず、恐竜はカッコよく造らなければならないと思っています。
科学的な意味合いがあったり、論文で新しい発見はこうだと、まずは骨を描いて、骨を関節ごとにわけていって、並び替えて復元するというやり方と、いい意味でも悪い意味でも恐竜というものはカッコイイもんだと思って取り組む復元と、どちらが受け入れられるかというのは判らないですけれど、恐竜復元に二つの方向があっても、僕は、まったくOKだと思います。

(インタビュー:杉原正樹)


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